2020年企業のRPA導入率は38%に到達し、年商1000億円以上の大手企業だと51%にも上ります。
今後RPAはさらに利用が拡大されていくでしょう。
RPAの期待が高まる中、RPAが止まってしまうトラブルも多く見られます。
RPAに期待して投資したのに残念に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では作成した自動化シナリオが止まってしまう、
うまくシナリオが動作しないなどの失敗の原因について、各フェーズごとにまとめました。
この記事を読んで、RPAが止まってしまったときの対処や対応策検討の参考にしてください。
1.作成フェーズでの原因
この章では、RPAが止まる原因について
自動化シナリオ作成フェーズでの原因を3点ほどまとめました。
自動化シナリオ作成中の方は、是非参考にしてください。
ネットワーク環境やRPA用PC端末負荷状況に起因するもの
ネットワーク環境やRPA用PC端末負荷状況に起因する例を2点挙げました。
【1】クラウド型RPAは、インターネットに接続するためネットワーク環境に依存します。
Wi-Fiで自動化を実施した場合、Wi-Fiが切断されるとRPAは止まります。
自動化シナリオの内容がクローリングを実施している場合、クローリングは途中停止する、
もしくはエラーが発生するでしょう。Wi-Fiが切断されたときの対処を検討しておく必要があります。
【2】PCの環境が重いため、遅延が生じシナリオを追い越してしまう現象があります。
具体的な事例としてExcelのデータを読み取って転記するシナリオがあり自動化を実施した場合、
Excelの起動や動作が遅延することがあります。
その場合、シナリオが自動化処理を追い越して、処理する対象を見失いエラーになってしまいます。
この場合、動作遅延を考慮したシナリオを作成する必要があります。
実行環境に起因するもの
実行環境に起因する事例をクラウド型RPAとオンプレ型RPAの場合でまとめました。
【1】クラウド型RPAは、インターネットのバージョンアップが行われ画面が変化すると、
RPAがシナリオ通りに動かなくなってしまうケースがあります。
(Google Chrome、Microsoft Edgeなど)
【2】オンプレ型RPAは、WindowsなどOSのアップデートによって
今まで動いていたシナリオが動かなくなってしまうケースがあります。
使用しているRPAツールの特徴を理解し、どんな部分が弱いのか把握しておきましょう。
▼「RPA徹底比較:クラウド型 vs インストール(オンプレ)型」記事を参考にしてください。
RPA徹底比較:クラウド型 vs インストール(オンプレ)型
テスト不足に起因するもの
例外処理やイレギュラーな事態に対応できていない場合、
原因としてテスト不足であることが考えられます。
テスト不足が発生する要因として、
・本番環境・実環境でのテスト使用には、時間的・場所的な制約がある場合。
→セキュリティが厳しい場合に多い事例です。
・テストデータでは動作したが、本番データでは止まってしまう場合。
→本番環境での試用期間を長くとり、問題点を洗い出しましょう。
2.運用フェーズでの原因
この章では、自動化シナリオの作成が終わり、
運用フェーズでのRPAが止まる原因について2点まとめました。
運用フェーズでのポイントとして、シナリオ作成時と担当者が異なる場合があります。
運用する方の視点も理解しておきましょう。
運用についての情報連携不足に起因するもの
RPAのシナリオ作成と運用を別の担当者が担当する場合があります。
その際RPAに関する運用マニュアル受け渡しや情報の引き継ぎがきちんとを行われないと、
運用部門が対応に困ってしまうケースがあります。
もしかしたら、運用部門の方は、RPAが万能な物だと思っている方もいるかもしれません。
自動化実施中にRPAが止まってしまった場合、初期対応は誰が行うのか、
どうやって対処をしたらいいのかなど、管理担当や対応方法を明確にしておきましょう。
PC端末の負荷に起因するもの
PC端末の負荷に起因する例を3点まとめました。
【1】ウイルススキャンやWindows Updateなどの他の処理が割り込みで入ってしまい、
止まってしまう場合がよく見受けられます。
【2】クラウド型RPAなら、クローリングを行って予想以上の検索結果が見つかり
データを転記する際、PCに負荷がかかる場合があります。
【3】バックグラウンドでアプリが動いているときにRPAを動かすと、
CPU使用率が上昇しPCに負荷がかかりフリーズに近い現象が発生することもあります。
3.RPAが止まるのを防ぐには
自動化シナリオの作成フェーズと運用フェーズで、RPAが止まる原因についてまとめてきました。
この章では、「RPAが止まるのを防ぐ方法」を紹介いたします。
負荷を考慮したフローを作成する
【1】クラウド型RPAなら、Wi-Fiではなく有線LAN(Ethernet)で
自動化を実施するといいでしょう。
有線LAN(Ethernet)なら、安定してネットに接続でき、
ネット環境が原因で自動化が止まりません。
【2】オンプレ型RPAでアプリを起動するシナリオが用意されている場合、
起動時間まで数秒の待機時間を設けてからシナリオが進むように作成するといいでしょう。
テストを十分に行う
自動化する業務内容によって、テスト期間を設定しましょう。
しかしテストを十分に行い、テストフェーズで問題が発生しなくても不測の事態は発生します。
またテストに時間をつぎ込んでも、コストの問題が発生します。
品質と時間とコストのちょうど良いバランスを取りましょう。
また想定できるリスクは、テストフェーズで取り除きましょう。
メンテナンスをきちんと行うこと
Windowsのアップデートやブラウザのバージョンアップは、
スケジュールを調整しメンテナンスを実施することで自動化シナリオの調整をしましょう。
メンテナンス実施が必須のパターンは以下の通りです。
・アプリケーションの仕様が変わった
・PCのアップデートが実施された
・ブラウザの環境が変化した
などがあります。
アプリケーションの仕様変更は、アプリケーション公式HPからの告知をチェックしておきましょう。
PCのアップデートが実施されたの対処方法としては、Windowsは半年ごとの大型アップデート、
毎月行われる更新プログラムとOSのビルドなどは公式HPからスケジュールが告知されるので対応しやすいでしょう。
大型アップデートが実施された後にメンテナンスを予定するなど、事前に対応しましょう。
エラー処理を用意しておくこと
もし予期せぬ事態が発生しシナリオ通りに動かない場合、
安全にシステムを止める処理シナリオを用意しておくといいでしょう。
たとえばWEBサイトの画面が変更され、
「対象となるデータが見つかりませんでした。」となった場合、
運用担当者にアラートメールを送る、エラーメッセージやログを残すなどの方法があります。
いかがでしたか。
RPAは万能な技術ではありません。
RPAが止まった場合は、慌てずに対処しましょう。
シナリオを修正して対応できる場合や運用の工夫で対処できる場合もあります。
RPAが止まった原因を突き止め、対応していきましょう。
ポイントとして、
・ヒアリング段階にでてこなかった問題は発生しうるので、
RPAを運用する体制や協力体制を築いておきましょう。
・RPAが止まってしまう原因の対策として、
日頃から使用している端末の特徴、Windowsの特徴、
RPAツールの情報を集めておきましょう。
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